コンサルタントに重要な忘れる力

コンサルノウハウ

コンサルタントにとって忘れる力ということは無縁のような感じがしますが、特に独立しているコンサルタントにとっては忘れる力ということも重要になることがしばしばあります。
ここではコンサルタントにとって忘れる力がなぜ重要なのかご説明します。

 責任感が強すぎて身を亡ぼすコンサルタントが多くいる

 僕は創業して間もないときに大変なクライアントと出会うことになりました。
当時は資金調達のコンサルティングをメインにしていたのですが、ご相談をいただいた方が間もなく資金ショートして倒産するという状態でした。
様々な状況的に資金調達は難しく依頼をしていただいても結果は変えられそうになかったため、資金調達はほぼ不可能で難しいので全く期待はしないでほしいということを伝えました。
それでも見捨てるような気がしてしまって、何とかできることを見つけようと実際手弁当で手伝うことにしました。
これが良くなかったわけです。

 

いろいろやりとりし、少し時間が経ったときに、その社長から僕宛に遺書がメールで届いたのです。
忘れもしませんが12月23日の朝でした。
その日は休みでしたが朝起きてメールを見た瞬間に青ざめてすぐに会社に行きました。
他の役員も呼び出し、この社長に何度も連絡したり、社長のSNSなどを調べたりしつつ、何か手掛かりはないか、警察に相談するべきかものすごいパニックになっていました。
そんな中で社長のブログを見つけて、人生最後の商談に臨むという内容が書いてあり、まだ自殺していないということでほっとしました。
ブログからその商談相手の場所が何となくわかり、駅に向かい駅で数時間待っていると、社長が現れました。
社長に自殺なんてやめてくださいと必死に伝えましたが、すぐに行ってしまいました。
僕たちにできることはもうないなと思いつつも、少しでも関わった人が自殺したりなんて本当に嫌だなとめちゃめちゃ恐かったのをとても覚えています。
その日は心配すぎて人生で1番疲れたといっても過言でない日となりました。
その後、この社長は自殺はせず、何とか気持ちを持ち直したのですが、12月23日の朝から数日間は生きた心地がしないくらいの状況でした。

 

何か期待をさせたことをしたわけでも全くなくご相談いただいた際の対応はあっていたと思います。
ただ、本当に追い込まれた人の精神状態などの理解ということは全く分かっておらず、その点で対応を間違えてしまって巻き込まれてしまったと思っています。

 

この件はちょっとイレギュラーかもしれませんが、責任感が強いコンサルタントはクライアントの状況によって責任やプレッシャーを大きく感じることもあります。
これはクライアントとの期待値やコンサルティングの内容にもよるわけですが、期待値やコンサルティングの内容というのはコンサルタントという1人の人間の精神衛生などに大きくかかわることなのでよくよく考えてコンサルティングの商品などは考えるべきなのです。

 会社は生き物なので調子が一気に悪くなることもある

コンサルタントという仕事は様々な状況のクライアントと仕事をすることになります。
調子がよいクライアントもいればそうでないクライアントもいます。
会社は生き物なので調子がよかったクライアントが急速に悪くなることもありますし、逆もしかりです。

 

急激に調子が悪くなっていくクライアントは余裕がどんどんなくなっていきます。
クライアントもどんどん追い込まれていきますので、元気がなくなったり、マイナス思考になったり、調子が良かったときとはまるで別人のようになります。
コンサルタントとしてとても真価が問われるときでもあるわけですが、クライアントの状態の悪さに圧倒されてしまって立ちすくんでしまうコンサルタントもいます。
クライアントも本意でないにせよ追い込まれてしまったことでコンサルタントに対して厳しいことを言うことも出てきます。
クライアントが悪いわけでなく、追いこまれた人であればある意味仕方のないことです。
ただコンサルタントも非常にショックを受けたりするわけです。

 仕事のプレッシャーが過度に高くないか

物理的な仕事の量、仕事の中身にいたるまで適性な仕事の量、中身になっていないと物理的に働く時間が長時間化したり、内容が難易度が高かったり、クライアントの期待値が高いものになっていればいるほど、コンサルタントは強いプレッシャー、ストレスを感じることになります。
仕事を長時間し続けることは睡眠時間を奪うことになり、それが一時的なものでないとどんどん身体の調子を蝕むことになります。
コンサルタントの仕事は自分自身が商品という側面もありますし、頭を大きく使う仕事のため、そもそもの頭のクリアは不可欠なわけですが、仕事の量、中身などを間違えてしまうと日々の仕事のパフォーマンスを間違いなく下げてしまうことに繋がります。

 うまくいかないことが続いたときこと忘れる力が必要

クライアントとの仕事においてとてもストレスのかかる状態や嫌なことが続いたり、また、独立しているコンサルタントの場合にはコンサルティングの契約数、売上など事業という面でもいろいろな心配、不安に襲われることがあります。
うまくいかないことや心配、不安なことというのはそう思い始めると立て続けに訪れたりします。
コンサルタント自身が精神的に追い込まれてしまうと間違いなく良い仕事ができなくなってしまいます。

 

コンサルタント自身のミスによってクライアントとの関係を悪くしてしまったということであればコンサルタントは反省、改善を当たり前にしなくてはいけませんが、コントロールできないことは考えても、悩んでも仕方ないのですぱっと忘れるべきです。
状況が悪いクライアントから言われて何か傷ついたことがあっても、それも状況がそうさせたということですぱっと忘れるべきです。

 忘れる力はコントロールできることかそうでないかを決めること

何を忘れる=気にしないようにするのかというと、コンサルタント自身が頑張ったり、考えたりすることで結果を変えられることなのか、頑張ったり、考えても結果を変えられないのかを1つの判断軸にするとよいと思います。

 

コンサルタントを長くやっていくと悪いこと、うまくいかないこともたくさんあります。
それらに全て向き合っていては身体が絶対にもちません。
コンサルタントらしく、起きたことを冷静に分析して、なんとかできることなのか、そうでないことなのかを見極めて、なんともできないことはある意味諦めて、できることに専念するという基本動作を持てるとよいと思います。

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