明日、今の事務所売上がなくなったらどうするか
一般企業の業界と変わらず、士業の世界も競合多数の中しのぎを削る競争社会です。
そのため、よりよいサービスを提供し続けないと競争に敗れ、ご飯を食べていくことができません。
毎日が競争ですから、一時の成功に安住してはいられません。
士業事務所のリスクヘッジについてお話しします。
常に最悪を想定する発想が強さの源泉となる
あなたの事務所の主な収入源となっている専門業務の売上が、明日からぱったりと上がらなくなるとなったらどうでしょう。
おそらくほとんどの事務所は、事務所存続の危機に陥るのではないでしょうか?
このような状況をも想定して、危機を乗り切るための事務所体制をあなたは作らなければなりません。
経営者のあなたは、常に最悪のシナリオを想定して行動してください。
満足できる売上と経営規模に達したとしても、決して保守的になったりしてはいけません。
成功した時と同じ状況が続くことなんて、決してないのですから。
常に成長が必要です。
事務所の売上が急速に落ち込む根本的な原因としては、
①集客源の偏り
②専門業務の偏り
が考えられます。
事務所のリスクヘッジができていないわけです。
あなたが思っている以上に、リスクは山のようにあります。
集客源の偏りをなくす
わかりやすい例として、あなたの事務所にくる依頼のすべてがホームページからだった場合を考えてみましょう。
このホームページが、何かしらの理由で、検索エンジンでヒットしなくなってしまったらどうでしょうか?
あなたの事務所はつぶれてしまうかもしれません。
そんなことはありえないと思っていませんか?
これは十分にありえることです。
たとえば、いま現在、「会社設立」というキーワードで検索すると、あなたの事務所のホームページは1ページ目の上から3番目に表示されるとします。
しかし、何百、何千のサイトが、このような検索上位のポジションを目指して、日々SEO対策をしています。
順位は簡単に入れ替わるのです。
また、検索エンジンを運営しているグーグルやヤフーは独自に決めたルールで、どんなサイトを検索上位に表示するかを決めています。
ルール変更は検索エンジン各社が自由に行っていますから、急に順位が下がるサイトはたくさんあります。
ですから、あなたのサイトが今は検索上位に表示されていたとしても、それは盤石な状態とは程遠い不安定な地位なのです。
しかし、あなたは、別の集客源を本気で作ろうとはしません。
実務が忙しく、集客のしくみ作りに使う時間がないからです。
この発想ではいけません。
あなたの時間を作る体制を、まずは整えましょう。
集客源を複数持つということは、売上を増やすためだけでなく、リスクヘッジという意味合いもあるのです。
専門業務の偏りをなくす
たとえば、あなたが会社設立業務しかやっていないとして、突然、会社設立業務を行政書士はやってはならないということに法律が変わったら、事務所は危機的な状況に追い込まれますよね?
開業当初に専門業務を1つに絞ることには大きなメリットがあります。
また、士業の業務内なら何でも引き受けるという姿勢はまったくお勧めできません。
しかし、事務所が一定の規模まで成長したら、複数の専門業務を持たないと、メリットよりリスクのほうが大きくなります。
僕は、相乗効果を出せる第二、第三の専門業務を見つけて、リスクヘッジ+売上の拡大の恩恵を受けることをお勧めします。
事務所を成長させる取り組みがリスクヘッジになっていた
リスクヘッジを最優先事項と捉えています。
集客源の複線化、業務の多角化は事務所の課題として常にありました。
会社設立業務と創業融資業務の集客源の複線化はだいぶん実現してきました。
僕の事務所のリスク分散の歩みについて、ご紹介いたします。
開業当初は会社設立業務のみに専門を絞り、ホームページからの集客だけに集中してやっていました。
しかも、サイトはたった1つです。
今にしてみれば大変危険な状態だったと思いますが、当時はお金も、時間も、経験もなかったため、集客源や専門業務を複数持つ余裕はなく、そもそも、その状態が危ないことだいう認識さえありませんでした。
僕がはじめにとったリスクヘッジは(リスクヘッジの意識からではなかったのですが)、創業融資業務を始めたことです。
これによって、業務の多角化ができました。
同時に創業融資業務のサイトを、会社設立のサイトとは別に作りましたので、ホームページに偏ってはいますが、事務所の集客源も一応2つに複線化できました。
その後、集客源の精度を向上させるための取り組みをする中でホームページをいくつか作り、会社設立業務、創業融資業務と、もう1つ新たに育てている業務を合わせて13前後のサイトを持っているときがありました。
集客源のうち、ホームページについては、だいぶん複線化してきました。
そして、さらなる集客源の複線化のために、リアルからの紹介や、SNSといったホームページ以外の集客源についても強化してきました。
リアルからの紹介についても、非常に多くの会社からの紹介、他士業の先生からの紹介、お客様からの紹介と複線化し、リスク分散を図っています。
こうして見ると、どの動きも結果として、リスクヘッジのためになっていますが、そもそもは事務所の成長を考えた結果から生まれたものです。
事務所を常に成長させようという意識を持つことが、最大のリスクヘッジとなるのです。
現状を維持しようという保守的な意識ではいけません。
攻撃は最大の防御となるのです。