コンサルティング系の資格を取得しても仕事は増えない話

コンサルノウハウ

コンサルティングをやりたい、やろうと思うと何か資格を取得したほうがいいのでは?と考える人が多くいます。
その際によく出てくる資格として中小企業診断士や国家資格である社会保険労務士、税理士など、さらに、MBAという話も出てきます。
中小企業のコンサルティングにおいて資格というのは必要なのでしょうか?ご説明します。

コンサルティングに資格は必要ない

最初に結論を申し上げますが、コンサルティングに資格は必要ありません。

必要ないというのは経営コンサルティングにおいて、

・資格を持っていないとやってはいけないという法律上の取り決めなどはないという意味

・資格を取得したからといってコンサルティングの仕事ができる、獲得できるわけではないという意味

 です。

前者は法律的な意味の話なのでわかりやすいと思います。(もちろん専門領域で税金のことは税理士などと法律で決まっていることはありますのでそのような独占業務でないコンサルティングの話です。)
後者に関してはとても重要な話なので詳しく説明します。

資格を取ったらコンサルティングできる?

コンサルティングをやりたい、コンサルタントになりたいと思って資格取得を考えている人というのは主に資格取得を通じて下記の2つのことを考えていたり、期待をしていることが多いです。(もちろんそうでない人も大勢いると思います。)

1,資格を取得する過程でコンサルタントの仕事がわかる、できるようになるのでは?
=コンサルティングの実務がわかるという側面

2,資格を取得することでコンサルティングの仕事が増えるのでは?
=コンサルティング業の集客、営業、売上という側面

2つについて詳しく説明します。

資格を取得する過程でコンサルティング実務がわかるのでは?

資格を取得する過程でコンサルティングの仕事や実務がわかるようになるかというとこれはほぼわかりませんし、コンサルティングの仕事ができるようにはなりません。

たとえば、車の免許を取るまでには座学の勉強と、実際の運転の2つをやりますが、仮に座学の勉強だけで車の運転ができますか?と言えばできないのと全く同じ話です。

コンサルティング系の資格において実際の運転(会社に対してのコンサルティング)は試験科目にはありません。

また、それ以前に、コンサルティングの資格の代表格である中小企業診断士の学習をしたことがあり、かつ、会社経営をしたことがある人ならわかりますが、試験科目の多くやその内容が実際の会社経営に役に立つ内容ではないということは多くの人が思っていると思います。
もちろん知っておいたらよいですよねという一般論などは多数ありますが、それらを知らないことが会社経営にとって致命傷になることはまずありません。

また、車の免許の場合には決まった答えがあることがほとんどなので、座学と実際の車の運転はかなりの精度で関連していますが、コンサルティング系の資格の座学と実際のコンサルティング(会社経営)というのはかなり乖離してしまっています。
これは会社経営というものにこうやれば絶対うまくいくという明確な答えを出してくださいというのに近く極めて難しいわけです。
そのため、資格を取得する過程でコンサルティングができるようになる、実務がわかるという期待は資格を取得する過程の中ではクリアすることはできないと思ってください。

※これは資格制度が悪いとか資格制度を批判しているという話ではなく、資格制度のそもそもの限界と受験する人の期待値がシンプルにズレているという話です。

そもそも、会社経営というのは本当に難しいことなわけで、時代や外部環境が刻一刻と変わり、ビジネスのルールも瞬間瞬間で変わってしまうこの世の中にあって、国というビジネスとは真逆の存在がつくった昔の制度や枠組みでビジネスのことが網羅されている資格ということはそもそもつくることができないと大きくは理解しておくべきです。

コンサルティング業の集客、営業、売上という側面

資格を取得することでコンサルティングの仕事がやってくるのでは?と思っている人も案外多くいますが、結論で申し上げますが、資格取得によってコンサルティングの仕事がやってくることはまずありません。
これは中小企業診断士もそうですが、全ての資格(弁護士、税理士、行政書士、社労士、司法書士など)で共通で、資格を取得しても自動で仕事の依頼がくるなんてことはほぼありません。
自分でマーケティング、営業活動をしない限り仕事は持続的に増えることはありません。
この部分を多くの人が勘違いをしています。

一番ありがちなケースが営業が苦手なので資格を取得しようと思っていますという人です。

このケースの人は資格を取れば自動で仕事が来ると思っているのですが、現実そんなことは全くなく、資格取得して、独立後にとても困る人なわけです。

資格取得後に独立をして売上がない=仕事がなく大変困っている人が多くいる現状をしっかりと理解をしましょう。
つまり、資格取得=自動で仕事がやってくるということはないということです。

※いわゆる国家資格などその資格がないとできない仕事であれば資格の有無でそもそも仕事ができるできないの絶対的なハードルとなるため、資格を取ると仕事が増えると思う人が多いわけです。
確かに雑に言えば仕事獲得のハードルは資格がないとできないわけなので圧倒的にほとんどの人は資格を持っていないので競争がなく仕事がやってきそうですが、資格者の中で当たり前に競争があるわけなので営業、マーケティング活動が不可欠になるわけです。

ここまでの話を読むとコンサルティングの資格は必要ないのでは?とか資格を取得するメリットはあるのか?と思われる人もいると思いますので、僕なりに資格取得のメリットになりそうなこと、また逆にデメリットもご説明します。

コンサルティングの資格取得のメリットは?

コンサルティング系の資格取得のメリットについてご説明します。

1番のメリットは自己成長、自己満足、自信になること

資格取得のメリットの1番は自己成長、自己満足、自信になることだと思っています。
自分の中での達成感が1番大きいと思います。

また、中小企業診断士であれば国家資格、MBAであれば何かすごそうというお墨付きが手に入ったということが自己肯定感や自信に繋がることもあります。
ただ、先に書いていますが資格取得によって仕事、実務ができるようになることはなかなかないですし、仕事が増えるわけでも基本はありません。
そのことは理解してください。

名刺に書けることはメリットか?

また資格取得やMBA取得を名刺に書ける(肩書として言える)わけですがそれがメリットかと言われると、資格やMBA取得の目的を、コンサルティング業として独立して売上を立てていくことだとすれば、資格やMBAがなくともその目的を達成しているコンサルタントは無数にいますし、資格やMBAを持って名刺に書いているものの目的を達成できていない人も多数いるので個人的にはどちらでもないという感じです。

あくまでも資格やMBAを持っていることで相手からみて信頼となって仕事に繋がるかどうかということだけが、コンサルtィング業を行うという意味で、資格取得後の資格のメリットにおいてはポイントになるわけです。

ただ、お分かりの通りで資格やMBAを持っていることが経営者からした際にコンサルティングを依頼するかどうかの条件にはほぼならず、それら関係なく、何が結局そのコンサルタントはできるのか?に尽きてしまうわけです。

資格やMBA取得の過程で知り合う仲間の存在

資格やMBA取得の過程で知り合う仲間、中小企業診断士登録後の中小企業診断士の集まりなどでの仲間をメリットと考える人もいますが、これは1つメリットかもしれません。
大人になるとなかなか新しい人と継続して繋がっていくことも少ないからです。
もちろん資格取得やMBAに限らずとも仲間をつくろうと思えばできるのでジャッジが難しいですが。

コンサルティングの資格取得のデメリットは?

最大のデメリットというか注意事項としては、やはり資格取得、MBA取得をしてもコンサルティングの仕事、実務ができるようになるわけではなかなかないこと、売上が自動で上がるわけではないことです。
勘違いをしている人が本当にとても多く、資格を取ったもののコンサルティングの仕事が全くありませんという人も現実にたくさんいます。
これらの人が悪いという話では一切なく、コンサルティングの資格取得が仕事に直結しているということではないことを認識しておくことがとても大切です。

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