士業事務所を数倍成長させる経営のポイント

士業

今後の士業事務所の生き残り、他の士業事務所との明確な差別化など、事務所経営を一層強くかつ安定させるために、必ず必要となってくることをお話しします。

 

売上が伸び悩んでいる方、他社との差別化が見出せないでいる方、事務所の一層の拡大を考えている方は必読です。

 

また、これから独立開業される士業、独立開業して間もない士業も、ぜひお読みください。
開業当初の成功はスタートであって、そこでハッピーエンドを迎えるわけではありません。
そこから、いかに続けていくかが重要です。

 

必ずお役に立つ話です。

これまでの士業事務所経営を徹底的に分析する

これまでの士業事務所経営について開業からの活動を徹底的に分析、整理しましょう。

 

あなたは、ここまで、忙しく無我夢中で士業事務所を開業し、経営してきたと思います。
そこで、まずは一度振り返って、一年間でやってきたことを整理してください。

 

整理すべきことは大まかに、

 

①集客源

②業務効率

③事務所の体制 

 

の3つでよいと思います。

集客源について

まずは、すべての集客源の費用対効果を確認してください。

 

士業事務所の規模が大きくなり、集客源が増えてくると、その1つひとつについての管理が粗くなってきて、実は無駄な集客源ができている可能性があります。
僕も、管理が甘く無駄な集客をやっていたことにすぐに気づかされました。

 

1件の依頼を取るための集客コストは最小限に抑えます。
このコストとは、現実的にかかるお金のほか、あなたやスタッフが取られる時間などまで複合的に考えて、仮に一時、依頼件数や売上が下がっても(単月の収支で赤字にならない程度であれば)高い利益率の事務所体制を保つようにします。

 

事務所の規模と比例するように集客にかかる総コストが巨大になってしまうと、外部環境が変化したときに、迅速に対応できなくなる危険があります。

 

集客コストを極力スリムにすることと、集客源ごとのきめ細やかな管理で、身軽に変更できる体制を作っておくことです。

業務効率について

これは単純です。
まだまだ改善の余地があり、よくなるオペレーション(業務の方法)があるのではないか?と何度でも問い直す(チェックする)ことです。
とにかく、業務に人の手を要さず、でも、お客様の満足度は高めるという、何か矛盾するような2つのことを同時に実現させる必要があります。

 

まずは、やることをリストアップし、確実に実施してください。
たとえば、資金があるのでしたら、業務システムを導入して、お客様とのメールの やりとりを自動化するなど、お勧めです。

事務所の体制について

これには大きく、経費とスタッフの2面での見直しがあります。
まずは、すべての経費を見直してください。
事務所の利益が大きくなったことで、経費の管理が甘くなってはいませんか?
この辺りで、戦略的な行動に出てもいいかもしれません。

 

たとえば、事務所を移転することで、交通費や時間など、複合的に見てコストダウンができるかもしれません。
従業員が通いやすい渋谷駅の近辺に移転しようと考えてみます。
そうすることで、従業員の通勤費だけで今より2万円安くなりますし、みんな自宅から近くなり、事務所全体で毎日3時間は時間を節約できるようになります。
3時間、生産的に使える時間が増えると、1週間で1つの大きなサイトを作ることができます。
さらに2、3週間かけて、お客様からの依頼が来るような工夫と、SEO対策をすれば、1か月後以降、おそらく月に5件程度、新規のお客様を受注できるサイトができます。

 

スタッフをうまくマネジメントできているか否かも大切です。
スタッフは、あなたと同じような起業家精神を身につけていますか?
従業員と言えど、経営者の視点で考えることのできるスタッフとそうでないスタッフとでは、事務所にもたらす影響は雲泥の差になります。

 

①集客源、②業務効率、③事務所の体制

 

なぜこの3つを考える必要があるのかと言えば、ここから一層の成長を成し遂げるためには、事務所内の体制を心身ともに強いものにしておかなければ、時間、カネ、人がその成長に耐えることができないからです。

競合分析をする

士業事務所の独立開業からこれまでのあなたの事務所内部の整理をしました。
では、次に外部環境を整理し直しましょう。

 

具体的には、あなたの専門業務と競合する企業や士業事務所について分析します。
あなたの士業事務所が成長しているのと同様、競合も成長しています。
あなた自身から見て、集客がうまい士業事務所、ホームページがよい士業事務所などを改めて見直してください。
そして競合の中でも、あなたよりも成功している士業事務所があったら、それをベンチマークとしましょう。

 

成功しているのは偶然ではなく、何か理由があるはずです。
あなたの事務所のサービスが競合よりも優れたものでないと、あなたの士業事務所のさらなる成長はありません。
競合分析の対象には、大きく分けて2つの種類があります。

横の競合

横の競合」とは、あなたの士業事務所と同じ業務をやっている士業事務所などのことです。
同じ業務をやっている司法書士事務所、税理士事務所など、資格が異なる他士業も横の競合となります。
とにかく業務上の直接的なライバルとなる相手のことです。
この横の競合との比較は、最低限必要です。

 

僕は、気になる競合士業事務所には自分で電話をして、その士業事務所の電話対応のしかたを調べたり、業務の流れを聞いて、どんな業務効率化の方法をとっているかなどを学びました。

 

他の士業事務所のすべてを真似する必要はありませんが、他の士業事務所より劣ったサービスを高い料金で提供しても、依頼はほとんど来ません。
そのため、他の士業事務所のやり方をある程度は意識しないといけません。

業務外の競合

行政書士の専門業務を同じにしている士業事務所などが競合(横の競合)するのは当たり前です。
しかし、横の競合に勝るサービスを提供すればそれでよいかというと、まだ不十分です。
それではお客様の満足度を大きく高めることはできません。

 

たとえば、僕が学生時代アルバイトをしていたマクドナルドの場合、「横の競合」は、他のハンバーガー系のお店やファーストフード店です。

 

でも、実は競合はもっとありますよね?
カフェやコンビニです。

 

たいていの方は、ここまでは思いつくのではないでしょうか?
さらにあるんです。

 

お客様からご注文をいただいて、代金をいただき、品物をお渡しするという接客サービス面に注目すれば、飲食店以外の多くの小売業やサービス業のお店の接客サービスとも競合しているんです。
この発想を持てるかが重要です。

 

直接的なライバルではない企業からも、そのやり方を学んで参考にすることができます。

 

たとえば、携帯電話のコールセンターに電話をしたのに、なかなか繋がらなくてイライラしたことはありませんか?
あれって、ものすごくお客様に失礼ですよね。
企業のイメージやお客様の満足度を下げています。

 

一方、あなたの事務所では、お客様からの電話にワンコールでいつも出るようにしていたら、どうでしょうか?
「電話対応」という共通の軸で見れば、あなたの事務所のサービスは、携帯電話会社に勝る顧客満足を提供することができます。

 

逆に、超一流のホスピタリティで有名なリッツカールトンの接客を受けた直後に、あなたの事務所であまりよくない接客を受けたとしたら、お客様はどう思うでしょうか?
お客様は、リッツカールトンはさすがだと思い評価を高めます。

 

一方で、リッツカールトンと比較されたあなたの事務所の評価は下がります。
極端な場合、依頼をキャンセルされることもあるでしょう。

 

このように、中心的な業務で直接戦うわけではなくても、顧客満足度という観点で見れば、お客様へサービスを提供しているすべての会社が、あなたの競合になるのです。
接客サービスだけでなく、さまざまな分野で超一流と言われる存在が競合となりえます。

 

「井の中の蛙」には決してならないでください。

整理することで見えてくる今後の戦略、戦術

このように、これまでの活動を整理してみると、あなたにはまだまだやらなくてはいけないことがたくさんありますよね。

 

最低限、横の競合には勝たなくてはいけません。
しかし、これは本当に最低限の話です。
士業事務所がさらに成長していくための戦略・戦術を考えると同時に、士業事務所が永続的に繁栄していけるように、リスクヘッジについても考えなくてはなりません。

 

たとえば、あなたの士業事務所の手数料の半額で同じ業務サービスを提供してくる競合が現れたとしたら、どうでしょう?
ジリ貧の士業事務所が利益度外視の割引をしてくる場合だってあります。

 

もちろん、ジリ貧の士業事務所とあなたの士業事務所では、業務実績やオペレーション効率などの違いはあります。

 

しかし、お客様はやはり価格に一番敏感です。
そんな時、あなたならどうしますか?
さらに安い料金を提示して、価格競争に挑みますか?
僕は、それを決してお勧めしません。
市場規模(料金単価×依頼案件数)を小さくしてしまってはいけません。
ポイントは、横の競合と真っ向から戦わなくてすむような備えをしておくことです。
戦う前に勝負をつけられるような体制を築くことです。
そんな備えをするためには、すべてのベースとなる「士業事務所の存在理由」を確立させ、その上で「差別化」と「オンリーワン化」を考える必要があります。
それを次から説明していきます。

事務所の存在理由を繰り返し問い直す

士業事務所を独立開業してからあなたが順調であればあるほど、考えなくてはいけないことがあります。
あなたはそれなりの集客源を作り上げ、事務所の規模も大きくなってきたはずです。
そうすると、僕がそうだったように、あなたも迷うことがあります。

 

それは、専門業務をいくつまで増やすか、どこまで広げるのかということです。

 

この迷いの本質は、「あなたの事務所は何のために存在しているのか」ということです。

 

事務所の存在理由が決まっていないと、これからの飛躍(事務所の成長)はもちろん、長く仕事を続けていくこと(リスクヘッジ)も難しいと思います。

士業事務所の存在理由があなたを導いてくれる

士業事務所の存在理由とは何でしょうか?
独立開業する当初、「なんで自分は事務所を作るのか(作ったのか)」と考えた人も多いと思います。
それと近い部分もあります。

 

しかし、独立開業当初のまだ満足に仕事をしていない時期、そもそも依頼がもらえるのか、もらえたとして業務をきちんと遂行できるのかさえわからなかった時期に考えたことは、現実的でなかったり、深掘りしておらず漠然として、具体性に欠けていたりします。
それに、事務所の成長に伴って具体化してきた点もあると思います。

 

僕も独立開業当初は、事務所の存在理由について深く考えていませんでした。
しかし今は、「なんで事務所をやっているのか」ということを常に意識し、考え続けています。

 

事務所のスタッフとともに、どのような事務所になりたいのか、自分たちは何のために存在しているのかということを、改めて話し合いました。
事務所の規模が大きくなってくると、勘違いをしそうになったり、舵取りを間違いそうになります。
勘違いや間違った舵取りというのは、事務所の存在理由に対して整合性のないことをしてしまうことです。
存在理由と整合性のないことをして、たとえ一時的には儲けることができても、それは失敗なんです。

 

そして、事務所の存在理由が何なのかが明確でないと、勘違いしたことや、舵取りを間違ったことにさえ気がつきません。

 

士業事務所の運営を船の航海にたとえると、事務所の存在理由は、航海の目的地と同じ意味を持っています。
存在理由がない事務所は、目的地のない船の航海と同じです。
どこに進めばいいかわからずふらふらと蛇行し、しだいに燃料が足りなくなったりして沈没してしまいます。
目的地が明確な船は、目的地までの最短の航路を計算します。
また、その航路で想定されるリスクを事前にある程度予測でき、対策を講じることができます。

 

そのため、目的地へ到達できる可能性が高まります。
また、目指す目的地が今まで誰も行ったことのない場所だったら、船の乗組員のモチベーションは上がりますよね?
自分たちがその場所に初めて降り立つんだと。
やる気のある乗組員の船とそうでない乗組員の船とで、過酷な航海に耐えられるのは前者ですよね。

 

ですから、事務所の存在理由とは、どういう事務所になりたいかという夢、目標です。
あなたがどこまで業務を拡大するかは、儲かるからという観点ではなく、事務所の存在理由にとって必要なのかどうかから、ぜひ考えて判断してください。

士業事務所の夢と目標の2つを決める

事務所の存在理由として、夢と目標の2つを設定していただきたいと思います。
まずとは、自分がどういう世界を実現したいのかということです。
会社でいう経営理念のようなものです。

 

ディズニーランドは夢や魔法を提供する国ですよね。
その理念が、キャラクターたちはもとより、アトラクションの案内をするスタッフから園内の清掃をするスタッフまで、夢を壊すようなことは決してしないという行動に落とし込まれています。

 

目標というのは、数字で表せる定量的なものです。
たとえば、日本で一番多く会社設立をする行政書士事務所になるというようなことです。
日本で一番になるには何件設立すればいいのかは、数字でわかります。
そこで、どうすればその件数を集客できるのか、また、その件数の業務をどう効率的に遂行するのかを考えていくわけです。

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